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ドイツの名窯マイセンの磁器が、池袋限定500円というウワサは本当か?!

名実とも西洋白磁の頂点に君臨するマイセンが池袋にて500円で買えるというウワサを耳にした。デパートでは、どんなものでも数万円はくだらないかのマイセンが500円はないでしょう。と鼻で笑って流していたのですが。

「アタシ見たんです。池袋マイセンを。アタシ、くわしいことは、わからないんですが、友人のお父さんが自慢げにみせてくれたんです。『これ、わかる?マイセン!500円で買ったんだよ!本当なら万はするんだから。』って。そのお父さんの話、本当っぽかったんです。しかも、デザインはフクロウ。」と真剣なマナコでいたいけな女子に聞かされたものだから、早速、池袋マイセンの調査に取りかかった。もしガセネタじゃなければイケフクロウのオミヤとしては最高宝になることは間違いない。

が、売っている場所は聞くと「池袋の小学校」という答えが返ってきた。

小学校でマイセン?ん?ん?ん?疑問は高まるばかりである。
いたいけな女子のマナコを信じ、ネットで調べるがまったくわからない。とはいえ、マイセンといえば、もともとは、中国の景徳鎮や伊万里の模倣がはじまり。ヨーロッパでは、人気は高いが作ることのできなかった白磁をドイツの王様が練金術師を幽閉し研究させ完成させたもの。ドイツのマイセン地方だけで作られる磁器をマイセンと呼び、トレードマークは、交差する二本の剣。そんなものが、池袋にあるはずがないだろう、しかも500円で。困り果てたあげく、小学校というキーワードがあったので、ひょっとすると、マイセンの磁器に似せたものを小学校の課外授業かなんかで作っているのではないかと考え、豊島区の教育委員会に連絡をとってみた。

「すいません、つかぬことをお伺いしますが、池袋の小学校で磁器のマイセンを販売されているところはありますか?」
「え、そんなところはないですよ!」とつれないお返事。
「小学校では物品は販売していませんから」そりゃそうですよね。ごもっともなご意見。やはりガセネタか。
「イケフクロウにちなんで、フクロウの置物らしいんですけど、ないですよね、エヘヘ」
「あれ?ひょっとすると…!少々お待ちください」なにやら相談されている模様。返ってきたのは意外な答えだった。
「担当のものが席を外しておりますので、詳しいことはわかりませんが、ふくろう・ミミズク資料館というがあります、それは区立小学校の中にある資料館なんですが…。」

というわけで、早速でかけてみた。

IMG_2916池袋東口から徒歩10分。あずま通り商店街にその小学校はあった。
その名も南池袋小学校、校章はなんと「フクロウ」。あずま(東)通りにある南池袋、なんだか不思議だ。

IMG_2914資料館、発見!開館日はなんと土日のみ。

IMG_2915豊島区のおみやげ発見!もしやこれが、池袋マイセンか?が、豊島区のおみやげとなっている。そうなるとマイセンではない。マイセンはドイツのものだから。

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そおっと入ってみると、誰もいない。入館料は無料なので、ま、いいかと。20畳ほどで広くはない資料館をつぶさに探訪。世界各国のふくろうに関するオブジェ写真が所狭しと展示してある。ここにマイセンの白磁はあるのだろうか?

image6それらしきものを発見。が、売り切れ。
といきなり、「いらっしゃい」と奥のドアが開かれ、優しい面持ちのおじさんが。売り切れオミヤの話を切り出すと「あっというまに売れちゃうんですよ、500円ですからね」とのあっさりとした答え。これって、マイセンですか?と尋ねると「いやあ、マイセンを研究して作っていますけど、マイセンではないです、マイセンはドイツですから。これはマイセン風です。」
おおっ!でも池袋マイセンを発見したのだ。いたいけな女子のマナコは本物だったのだ、マイセン”風”だったけど。

IMG_2918優しい笑顔のお方は、池澤清治さんといい豊島ふくろうみみずく資料館の館長さん。世界中のふくろうの資料約12000点をほぼひとりで調査し集めファイリングされているとのこと、大変にご苦労なお仕事だ。池澤館長さんと資料を交えながらお話すること2時間。北海道で撮影されたシマフクロウの餌の捕食シーンの映像とか、ふくろうに関する古い文献とかいろいろ拝見させていただきました。で、池袋マイセンの撮影許可を申し出ると快く棚から出していただき、奥の事務所の撮影場所まで提供していただきました。

IMG_2926シマフクロウ。高さ7センチぐらいで、白磁。完成度は、高いです。これで500円は素人がみても安価です。どうしてこんな価格で販売できるのですか?と尋ねると、ここは豊島区の教育委員会が運営しているとこで、利潤を考えていないからですよ。とのお答え。

IMG_2929オオコノハズク。これも500円。優しく透き通る目が素晴らしい作品です。フォルムも非常に美しいです。すぐ売り切れてしまうのに、なぜ量産されないのですか?実は私もこれが欲しくて来館したんですが。と尋ねると。手間がかかるので、量産できないんですよ。とのお答え。

image10コキンメ。やっぱり500円。この威厳のある眼差しは家の守り神になりそうです。この作家さんは、著名な方なのですか?と尋ねると。そんなことはないですよ、とのお答え。

image11フクロウ。これも500円。遠くを見つめる柔らかな眼差しが、未来をみているようで、なぜかジーンと心を打つ。それにしても白磁は美しい。ヨーロッパの貴族が愛し続けた理由がわかるような気がする。ひとつ欲しいんですけど、こんどの入荷はいつですか?予約はできるのですか?と尋ねると。いまは、入荷予定はないですね、いつできるかわからない。とのお答え。池袋オミヤハンターとしては、非常に悲しいレポートである。

池澤館長さんは御歳77才。アメリカで35年間が仕事をし、その間ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジアの世界各国を旅行されたとのこと。パイロット、ボートの免許をお持ちで、若い頃は遊んでばかりでしたと笑いながら答えられた。いまは少し身体を悪くして、動けないんですけどねと、目はいきいきとしていた。話は弾み、iPhoneで写真を見せていただきながら、若い頃の話をたくさん聞いた。「ハンガリーはフォアグラの特産地なんだけど、ハンガリーの高級レストラン何軒かで食べたフォアグラ料理は美味しくなかった」「1965年当時の東京の別荘って、いまでは簡単に行ける高尾辺りだったんんですよ、軽井沢なんて遠すぎて」「私、趣味で焼き物をやってたんですよ、高尾に茶室まで設けて」などなど。

「あなたと、仲良くなれたから、とっておきの秘密を教えてあげるね、ついてきて」と言われ資料室を後にした。向かったのは資料室の裏手の建物。

IMG_2945案内された場所は、なにやら研究室みたいなところ。池澤館長の77才の笑顔が好い。

IMG_2942そこにあったのは、なんと池袋マイセン。資料館の裏に窯があったのだ。

IMG_2943完成品とおぼしきものがあったので、これ譲っていただけませんか?と訊くと、それはダメです。失敗作なんでと。

IMG_2947池澤館長さんが、素晴らしいマイセンの研究家でもあり、作家でもあったのだ。これには驚いた。これから絵付けする作品の前で。

池澤館長にお会いできて、とても貴重な時間を共にすることができて、これがイチバンの池袋オミヤなのかもしれない。小学五年生のように目を輝かせて昔のことを語られる時間は、私にとっても有意義で大切な時間になった。できたら一献交えながら、時間を気にせずお話を伺いたい。それくらい愉しかった。体調を良くされて、池袋マイセンの近い復活を希望します。是非とも、ひとつだけでいいので、池袋マイミヤにしたい。

池澤館長殿、本当貴重なお時間ありがとうございました。

みなさん、是非とも豊島ふくろうみみずく資料館に足をお運びください。そして、池澤館長さんのココロという素晴らしい池袋オミヤを頂いてください。

豊島ふくろう・みみずく資料館
http://www.toshima.ne.jp/~zukuspot/


土日のみの開館(くれぐれもお間違えないように)
豊島区南池袋3-18-12 豊島区立南池袋小学校内 03-3983-2872
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