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画家のアトリエはパワースポット!? 前編

毛糸の帽子で防寒ばっちりの妹と一緒に、池袋からひと駅の目白駅にやってきました。今日の散歩のお目当ては、大正時代にこのあたりで暮らしていた洋画家、中村彝(なかむら つね 1887-1924)と佐伯祐三(さえき ゆうぞう 1898-1928)のアトリエめぐりです。

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目白はかつての母校の最寄り駅なのですが、その変貌ぶりにいつもびっくりします。駅舎も高原の駅みたいで可愛いし、「トラッド目白」なんてオシャレな商業施設もオープンしたし。ガス灯風のライトに寄りかかる男性、妙に絵になる……と思ったら、モデルさんの撮影でした。昔もこんなだったら良かったのに。

お昼スタートだったので、「腹減った」モードの妹の希望でまずはランチへ。駅からすぐの「ビストロ&ガレット ル・モンサンミシェル」に向かいます。店先には華やかなクリスマスツリーが。落ち着いた内装のくつろげるお店です。

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なぜこのお店なのかというと、今日のサブテーマが「フランス愛」だから。中村彝は、フランスの画家ルノワールやセザンヌの大ファン。佐伯祐三は、パリに滞在して街の風景を描き、パリ郊外で亡くなっています。中村彝は37歳、佐伯祐三は30歳で死んだ夭折の画家だけに、彼らにとっての「フランス」の大きさははかりしれません。

と、そんな思惑は、運ばれてくる郷土料理の前には消し飛んでしまうわけで……。

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前菜の「自家製田舎風パテ」。ぽってりと厚みのあるパテの濃厚な肉感が最高。

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メインのそば粉のガレット。 半熟卵、エメンタールチーズ、ハムのガレットに、ボルドー風のキノコのソテーとトマトのマリネが添えられています。半熟卵を崩してひと口……。

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にやにや顔を妹に撮られました。

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お楽しみのデザートは、リンゴの赤ワイン煮、ホイップクリーム、レモンソルベ添えのクレープ。

「上のフルーツとソースのバランスが抜群! 甘すぎず、苦みとこくのあるリンゴのワイン煮とレモンのソースが合うね」(妹)

流れるシャンソン、優雅な店内。「パリのマドモアゼルになった気分グフっ!!」などと浮かれる妹。にやけ顔は、やっぱり姉妹で似ています。

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腹ごしらえが済んだところで、いざ最初の目的地、中村彝のアトリエへ出発。サブテーマのせいか、フレンチシックなお店が目につきます。「牛角」看板で現実に。

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強烈な引力を放つケーキ屋さん。ウインドウ・デコレーションが美しすぎる!

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大通りを横に入って、目白の住宅街をくねくねと探索。頼りは住所と、サイトでみつけたこちらの地図。静かな細い道が続くので、たどり着けるのかうっすら不安になります。

「雑司ヶ谷の神社の手創り市にはちょくちょく行くんだけど、今回は西側だからなー。それにしてもお姉ちゃん、通ってたわりには土地勘なさすぎじゃない?」(妹)

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文句を浴びつつ15分ほどさまよったのちに、アトリエに到着しました。なんという愛らしさ! まるでタイムスリップしたかのよう、見るだけで心をギュッとつかまれる佇まいです。大正5(1916)年に建築されたのち、増改築された建物を、当初の姿に復元したものなのだそう。病弱であまり外出できなかった彝は、29歳の時に支援者の援助で建てたこのアトリエをこよなく愛し、制作と療養の日々を送っていました。

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左がアトリエ棟、右が管理棟(展示室)。展示室では、解説パネルで彝の生涯や作品について知ることができます。

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もしゃっとしたヘアスタイルで、「23歳」と注記してあるのが中村彝。

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実作品はありませんが、「頭蓋骨を持てる自画像」など代表作の高精度写真パネルがあり、写真撮影もオーケーなのがうれしいところ。クリスチャンだった彝は、死期が近づくにつれて、西洋の「メメント・モリ(死を忘れるな)」のモチーフを取り上げるようになりました。ゆかりの地で見ると、また印象が違って見えますね。

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それではいよいよ、アトリエ内部へ! 後編でじっくりご案内します。

■ル・モンサンミシェル -Le mont-st-michel-
http://creperie-mont-st-michel.com/
東京都豊島区目白3-4-15 プラネットメジロ 1F
TEL:03-6915-3857

■新宿区立中村彝アトリエ記念館
http://www.regasu-shinjuku.or.jp/?p=40357
東京都新宿区下落合3-5-7
開館時間:10:00~16:30
休館日:月曜日(ただし、祝日の場合はその翌日)、年末年始(12 月29 日~1 月3 日)
入館料:無料

大原しまい

大原しまい
アート好きライターの姉が妹(http://yuberita.hatenablog.com/)を誘い、過去・現代問わず、池袋界隈のアートを訪ねてフラフラ歩く姉妹散歩。「池袋モンパルナス」の画家たちゆかりの地をベースに、近隣の美術館やアートイベント、途中で見つけた居心地のいいカフェなどを紹介していきます。


カテゴリー:アート 


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