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ワッカアートアワード2024

WACCA ART AWARD2024 へのご応募、誠に有難うございました。
グランプリ・ご入選者様をご紹介いたしました。
(写真はクリックで拡大表示していただけます。)

ワッカアートアワード2024 グランプリ

作品名:福ぶくろう(水田雅也 氏)

1998年愛知県生まれ。京都府在住。九州大学大学院芸術工学府デザインストラテジー専攻修了。「動物と人間の関わり」をテーマに活動。対象となる動物と人間の関わりについて調査し、その中で生じた矛盾や違和感を起点に作品制作を行う。近年の主な活動に『現実47』(大分県立美術館、大分、2022)、『豊岡演劇祭2023』(アイティ前芝生広場、兵庫、2023)、『ATAMI ART GRANT 2023』(尾崎ランドビル、静岡、2023)など。
Website:https://masayamizuta.com
Instagram:@masaya_mizuta

今回のコンペの特徴である「審査から展示までの期間」をフルに活かし、ダジャレという切り口のリサーチを通じて、建物と地域を軽やかに再考する素晴らしい提案でした。ダジャレをきっかけに広がる、池袋とWACCAへの新しい視点を楽しみにしております。

ワッカアートアワード2024 入選作品

作品名:Equal(⼭⼝蛇 氏)

私の制作では、何気なかった場所を特別な場に変容させる。そのような場所/空間⾃体が、作品でない場所にも注⽬を促し、私の作品のあるエリア、ひいてはその町、県、⽇本、或いはどこにいっても、場に対して様々な⾒⽅ができる機会となる新たな場の在り⽅、その変⾰を「ネオ・ランドアート」と名付け、これの創出を⽬指す。
Instagram:@pepei6

ご自身が海や森で得た経験を、立体作品としてWACCAや来場者へと繋げていくアプローチが印象的でした。また多くのプランが過程も含めたプロジェクトとして提案された中で、企画の軸をシンプルに立体作品を展示することに置いた姿勢も、高く評価された作品でした。


作品名:夢中百貨店(DamaDamTal 氏・いくらまりえ 氏・Elitsa Ganeva 氏)

パフォーマンスプロジェクト-DamaDamTal、絵描き-いくらまりえ、ブルガリアのアーティスト-Elitsa Ganeva、夢中百貨店のために集まった3組によるアートプロジェクト。
DamaDamTal Webサイト:https://www.damadamtal.com/
いくらまりえLit. Link:https://lit.link/marieikura
Elitsa Ganeva Webサイト:https://www.elitsaganeva.com/

「アートとまち、アートと人との距離感を縮める」という作家としてのテーマが商業施設との親和性が高く、魅力的なご提案でした。また、プレ展示も含めた本企画の全容と、施設全体の使い方も視野に入れながら、しっかりと作品が構築されている素晴らしいプランでした。


作品名:1.Tea house HOUSE/2.スイカ/3.おじいちゃんホストクラブMAKE TRUE 2023(クミちゃん 氏)

台湾⽣まれ。東京芸術⼤学映像研究科メディア映像専攻修了。18 歳まで台湾で過ごし、その後祖⽗の家で約 5 年間⼆⼈暮らしをする。祖⽗の死後、祖⽗の死の喪失を乗り越える⼀環として催しを企画し、家に他者を招くことで「家のルールの解体」について実践を⾏なった。2023 年は「歓迎」をキーワードに「おじいちゃんホストクラブ MAKE TRUE2023」( カフェ•ド•巴⾥池袋⻄⼝店 / 東京 /2023 )、永畑智⼤との⼆⼈展「祖傳⻄⽠汁ズゥツァンシーグァズー」(Token Art Center/ 東京 /2023) 、「Tea house HOUSE」(MEDIA PRACTICE22-23 修⼠課程修了制作展 / 神奈川 /2023 ) の制作をした。
X:@Kumiko72843091
Instagram:@got_grand_father/
Tea house HOUSE 販売サイト:https://grandpahouse.base.shop/p/00004

ご自身の体験や個性と池袋の街の思い出が噛み合った、興味深いプランでした。
審査では「商業施設だからこそ、どこまでも個人的な想いから発生した作品を、展開・応援しても良いのでは?」という議論も交わされ、商業施設という場所を再考させられる、非常に魅力的なご提案でした。


作品名:CORPUS DUCT(小野 龍一 氏)

東京藝術大学の作曲科を卒業後、同大学院美術研究科を修了。ジョン・ケージ美学の研究・実践を基に、音楽空間における人と音の関係性の「変奏」をコンセプトとした、領域横断的な活動を展開している。 2018年、東京2020オリンピック・パラリンピック公認文化オリンピアード「TURN」の海外アーティストとしてエクアドルに滞在。
2020年のパンデミック禍では、緊急事態宣言下で使用されなくなったコンサートホールの環境音を収集した「不安のサウンドスケープ」というオンラインのサウンド・アートを全国のホールとの協働により制作した。
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「奥能登国際芸術祭2023」 (2023,石川県珠洲)
「TURN茶会」 (2021, 国立新美術館)
「TURN on the EARTH~わたしはちきゅうのこだま~」 (2021, 東京藝術大学大学美術館)「東京コンサー ツX小野龍一 NewShape展」 (2019, 東京コンサー ツ ・ ラボ)
「TURNフェス5」 (2019)

WACCAでは今までにない、「音」という視点で施設について深く追求している、新しい視点のプランであり、大変興味深いご提案でした。来館されるお客様に限らず、施設従業員にも普段とは違う景色や音の体験を提供できる点が、非常に評価されるプランでした。


作品名:踊るなら場所を変えて(古屋真美 氏)

個⼈の所有する⾐服をモチーフにリトグラフを制作、それらとの適切な距離を考えています。
Instagram:@ma_m_ig
Website:https://littlepress.studio.site/about

過去に制作した作品をベースとしながらも、WACCAでの新しい挑戦も明確に提示していただいた、魅力的なご提案でした。作家と作品、作家と池袋という場所の、それぞれの関係性を明確にしながら、リトグラフという平面作品を空間的に構成した素晴らしいご提案でした。

第1回WACCAアートアワードには力作揃いの応募を頂きまして、多くの候補の中から絞り込む難しい審査作業となりました。WACCAの展示場所は館内空間や回遊動線上を利用したオルタナティブな環境で、応募作品は場の特性や池袋の歴史文化へのリサーチなど多種多様なアプローチで解釈、表現されました。来館者がアートと出会い、発見、気づき、つながり交流する中でアート作品との間にどんな化学反応が起こるのか、大変楽しみな結果となりました。
いずれもが渾身の作品提案であり、応募頂きました皆様には心より御礼を申し上げます。

応募プランはユニークで目に留まる作品も多かった一方で、商業施設内で実施するということへの意識や地域性の解釈、プレ企画の提案といった本アワードの特徴を活かすところでは差が開いたように感じました。ホワイトキューブの中だけでは養えない視点もあるので、領域横断や新しい表現を模索したい方にとっては貴重な挑戦の機会でもあると思います。本アワードはアーティストだけでなくキュレーターなども応募可能なので、次回以降はアーティストだけでなく企画職からの応募があることも期待しています。

使っているメディアも、扱うテーマも、培ってきたキャリアも、実に多様な応募作品の中から、「ひとつ」を選ぶことの難しさを痛感した審査でした。
WACCAという場所には、個々人のアートへの関心の有無とは無関係にたくさんの人が訪れます。そうした人々が「作品」と対峙したとき、何が起こるのか。自分の想像の外にある環境や人々と自身の作品をどのように関係づけていこうとしているか。こうした点が、審査員の一人としての評価のポイントになりました。
次回からも、さらに多くの方からのご応募に期待します。

応募テーマへのアプローチの仕方や着眼点に独特なものが多く、表現の多様性に新鮮な発見と刺激を頂いた。商業施設のアートの場としての可能性や、様々な来館者との繋がりも感じました。実現性に多少問題を感じる作品もありましたが、入選者6名の作品は実際に観て、体験したいと思わせるものばかりでした。
グランプリ受賞者の作品は、今後地域の人達を巻き込んで丁寧なリサーチをした後にどの様な形になるのか、秋の本展示が楽しみです。
今回応募下さった全ての皆様に感謝申し上げると共に、更なる飛躍を期待しています。

コンペとしては、テーマである「商業施設」だけでなく、「プレ展示」や「展示までの長い時間の使い方」など、検討事項の多い難しい企画でした。しかし、丁寧にその課題に応える企画もあれば、個人的な想いで全てをひっくり返す作品もあり、多様な個性がぶつかり、心躍る審査でした。
今回のアワードは1作品のみの展示となりますが、WACCAは日頃から多様な展覧会を実施しています。中には持ち込みの企画を実施することもあり、アワード以外でも展覧会のご提案は受け付けていますので、このアワードが多様な表現や挑戦の場としてWACCAが彩られる契機になれば、審査員としても喜ばしい限りです。


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