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― 現地説明会レポート:多様性が交差する池袋の商業施設で、新しい表現に出会う ―

池袋の街がゆっくりと夕暮れに染まる頃、WACCA池袋の1階ホールでは、2026年度のWACCA ART Awardに向けたイベントの準備が動き始めていました。

この日は、アワードの魅力や審査の裏側、会場としてのWACCAの独自性について、審査員や関係者が語り合う特別な説明会が開催。

ゲストとして登壇したのは、WACCA ART Award 2026 審査員の 飯石 藍さん簱 明美さん、そしてファシリテーターは広報を務める 冠 那菜奈さん。司会は同じく2026審査員の 戸井田 雄さん が務めました。

アーティストにとって気になるのは、

「WACCA ART Awardには、どんな可能性があるのか?」

「どのような視点で作品が審査されるのか?」

「どんな表現に挑戦できるのか?」

という点ではないでしょうか。

本記事では、説明会で出てきた印象的な言葉を引用しながら、WACCA ART Award 2026の魅力を“応募者目線”でていねいに紐解いていきます。


1. WACCAは「街と混ざる」場所。だからこそ生まれる表現がある

まず話題になったのは、WACCAという「商業施設」そのものが持つ特性について。

審査員の飯石さんは、池袋リビングループなどで9年間、街と人の場づくりを続けてきた視点から、WACCAの印象をこう語ります。

「商業施設というより、いろんな人のつながりを生み出す“おおらかな場所”」

池袋という街は、雑多で、文化が混じり合い、人の流れも国籍もさまざま。

その中で“作品を見に来ていない人”の目に触れるという特性は、WACCAで展示する大きな魅力です。

簱さんも、WACCAが設計当初から「人と街のつながりを大切にする場所」としてつくられたことを強調します。

「作品が飾られるだけでなく、つながりや気づき、発見が生まれる場をつくりたい」

アーティストにとっては、WACCAでは美術館では出会えない層に作品が届く可能性があります。

その点で、WACCAは「街に開けた展示空間」として極めてユニークな場所です。


2. アワードテーマ「商業施設とアートの水際」とは?

WACCA ART Awardのテーマは、今年度も継続して「商業施設とアートの水際」です。

このテーマの解釈について、審査員の二人が語った内容は、応募を考える上でヒントになるはずです。

飯石さんは、

「街・商業・アートが緩やかにつながり、境界が曖昧な状態の面白さ」

という表現をしました。

「混ざり合うことで色が変わる」

「ホワイトキューブでは出会えない気づきが生まれる」

といった視点は、商業施設で展示するからこそ実現する体験です。

一方で簱さんは、

商業施設にありがちな“埋没してしまう恐れ”も含めて、作品がどう存在できるかを問うのが面白い、と語ります。

「埋没をどう越えるか。その先にホワイトキューブでは得られない発見がある」

つまり今年のテーマは、

「境界の曖昧さを楽しみ、商業施設という“通常とは異なる環境”でどう作品を成立させるか」

という挑戦でもあります。


3. WACCAの展示は“街を巻き込む”。視線も導線もユニーク

WACCAは吹き抜け構造と螺旋状のエスカレーターが特徴で、訪れた人の視線があちこちに流れます。

飯石さんは、

「視線がいろんな方向へ向けられるのが楽しい。街歩きするように作品が出会いを生む」

と、WACCAの構造そのものを魅力として捉えていました。

また、子どもが展示に反応して足を止める様子など、偶然性が展示の一部になるのもWACCAならでは。

アーティストにとっては難しさもありますが、「偶然出会う/巻き込まれる体験をつくれる」のは大きな可能性と言えます。


4. 年齢・実績・ジャンル不問。キュレーター応募も歓迎

WACCA ART Awardの大きな特徴のひとつが “間口の広さ” です。

冠さんは、

「実績がなくても、美大出身でなくても応募できる。間口がとても広い」

と話し、これまでの応募者にもダンス・クラフト・建築・音楽など、ジャンルを越えた表現者が多数いたことを紹介しました。

審査員の飯石さんも、

「キュレーターが応募できるのも特徴。多様な人に出してほしい」

とコメント。

アーティスト・企画者・クリエイターなど、自分の役割に縛られず挑戦できるアワードであることが強調されました。

また、審査員の簱さんからは、

「選ばれなかったからといって、作品がダメだった訳ではないので、何度でも挑戦してほしい」

とコメントがあり、実際にWACCA ART Awardの応募アーティストが、別の季節装飾のプロジェクトで、WACCAで作品を展示するということもあったそうです。


5. 審査で見られるポイント:池袋という“場所性”へのまなざし

応募者がもっとも気になる「審査基準」についても、丁寧に語られました。

飯石さんは、

池袋という街との接点を重視していると話します。

「雑多な池袋をどう味わったのかを知りたい。作品にどう編み込まれているか」

簱さんも、

「会期が長く、プレ展示で企画が変化しても良い。変化をポジティブに受け止めている」

と語り、「変化を前提とした伴走型」の審査・制作支援が行われていることが伺えました。

実際に、WACCA ART Award2024では、リサーチをベースに制作をする水田雅也さんがグランプリになり、プレ展示を通じて大きくブラッシュアップした展覧会が実施されました。

また、戸井田さんは、

「過去の審査も立ち会ったが、多彩な審査員がいることで、提案の細部まで拾い上げられる審査になっている」

と話し、

“どんな視点でも作品を受け止められる懐の深さ”が強調されました。


6. WACCAの伴走支援:一緒に形にしていくプロセス

今回もっとも印象的だったのが、

「応募者がやりたいことを最大限実現できるように伴走する」という姿勢。

飯石さんは、

「提案したものが、制作の中でさらに発展することもある。自由な発想で挑戦してほしい」

と語り、

簱さんも、

「施設も一緒にチャレンジしたい。多様な作品を楽しみにしています」

と背中を押していました。

これらの発言から伝わるのは、

WACCA ART Awardは”実現性だけで落選するコンテスト”ではなく、内容が良ければ“どうすればできるか”を一緒に考える土壌があるということです。


7. 池袋という街の多様性 — ここでしか生まれない表現がある

簱さんが語った池袋の特徴も、応募のヒントになります。

「大企業主導ではなく、街の地主が支える“村社会的な温かさ”がある。何でも受け入れる街」

池袋は、雑多で、文化が重なり、年齢も国籍も幅広い。

その多様性が、WACCAでの展示に新しい意味を与えます。

・商業施設でありながら、ローカルで温かい。

・公園やイベントとも自然に連動する。

——そんな唯一無二の街だからこそ、

アーティストにとって“表現を試す舞台”として魅力があるのです。


8. 会場からの質問

説明会の中で行われた、会場からの質疑応答では、

「商業施設ならではの、注意点があれば事前に知りたい」

という質問が出されました。

この質問に対しては、

・展覧会に関係のない方も通るのと、施設から協力出来る人員も限られているので、作品の保守管理については注意が必要。

・今年のグランプリ作品は想定外の場所だったが、コンペから展覧会までの期間も長いので、相談して歩み寄りながら実現に向けて調整することも出来る。

・もし不安があれば、遠慮なく事前に問い合わせを送っていただきたい。

といった回答が出されました。


9. 応募者へのメッセージ

説明会の最後、3名から応募者へ向けて温かいメッセージが届けられました。

● 飯石さん

「多様な顔ぶれだからこそ、自分の挑戦をしてほしい」

「自由な発想でぶつけてきてほしい」

● 簱さん

「既成概念にとらわれず、さまざまな作品を楽しみにしています」

● 戸井田さん

「施設や地域に向き合ったら、最後は本当にやりたいことを出してくれるのが一番。思いのままに応募してほしい」

3人の言葉をまとめると、

“やりたいことを遠慮なく出してほしい。その挑戦を受け止める準備はできている”

というメッセージでした。


10. 応募受付中(締切:12月31日)

WACCA ART Award 2026 の応募締切は 12月31日

実績や年齢、ジャンルを問わず応募できます。

詳細は公式サイト:


11. まとめ:WACCAは、あなたの「次の表現」を受け止める場所

説明会を通じて強く感じたのは、

WACCA ART Awardは“アーティストの挑戦を期待するアワード”である

ということでした。

・街と混ざる展示空間

・商業施設だからこその偶然性

・長期会期による変化の余白

・実績不問、ジャンル不問の間口

・多様な審査員

・一緒に形にする伴走体制

これらが重なり合って、“ここでしかできない表現”が生まれる場所になっています。

あなたの中にある「やってみたかった表現」があるなら、ぜひ今年、WACCAの舞台に持ち込んでみませんか。

カテゴリー:アート 


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