小道の奥に何がある?池袋で落語さんぽ 前編
快晴の池袋駅北口にやってきました。豊島清掃工場の煙突が、青空にくっきりそびえています。
今日の散歩のテーマは、今また静かなブームと噂の「落語」。実は池袋には、池袋演芸場という通好みの寄席(よせ)があるんです。
ちなみに散歩仲間の我が妹は、本日はお休み。ちょっと良きことがありまして、バタバタしております。タイトルに偽りありになってしまい、申し訳ありません。
ソロ活動の頼りなさを補うべくひっぱりだしたのは、『噺家と歩く「江戸・東京」こだわり落語散歩ガイド』。著者の長井好弘さんが、6人の噺家と一緒に落語の舞台を歩くという楽しい本です。
噺家と歩く「江戸・東京」 こだわり落語散歩ガイド 長井 好弘 アスペクト 2010-02-26 by G-Tools |
まずは、北口から徒歩数分の平和通り商店街に向かいます。池袋の水先案内人として登場する柳家喬太郎師匠は、二ツ目時代から池袋周辺に住んでいるという人気落語家。池袋を舞台に「結石移動症」というディープな新作落語も作っています。
「地元住民みたいなもんだから、マイナーな所しか歩きませんよ」
という師匠が紹介していたのが――
その名も「池袋の森」。のどかな商店街の真ん中に、ひょっこり現れる小道の違和感はかなりのものです。
おそるおそる進んでいくと、まるでエアポケットのように小さな森が広がっていました。
青空に枝を広げる大きな木。この森、もとは日本を代表する林学博士の住宅だったのだそう。
井戸水をくみ上げた池とログハウス。昔は何種類ものトンボがいましたが、アメリカザリガニが増えすぎていなくなってしまったそうです。今はボランティア団体が環境保全に取り組んでいるのだとか。
ニャア、と声をかけられて振り向くと、森の主とおぼしき猫がいました。猫好きなのに猫に嫌われる妹がいたら、追いかけまわしていたに違いありません。
スリスリしてくれるけれど、なかなかカメラ目線をくれない猫。
それにしてもさすがは師匠、池袋の駅前にこんな森があったなんて! いい気分転換ができたところで、次の目的地に出発。「キッチン チェック」で寄席の前の腹ごしらえです。
バラのマークのピンクの建物、ロサ会館の1階にあるこちらは、よく若手噺家さんが訪れるという洋食店。
「店内装飾もメニューもヒゲの渋いコックも、十年、十五年前と、おそらくほとんど変わっていないのだろう」
と本には書かれていました。中央の厨房を囲むようにぐるりとカウンター席をもうけた小さなお店。真っ白なコートと帽子がりりしいコックさんたちが、キビキビと腕をふるう姿を特等席で見ることができます。
洋食の定番が勢ぞろいのメニューから、ポークソテーを注文。マッシュルームソースをたっぷりかけた分厚い豚肉が、鉄板の上でじゅうじゅう踊っています。そうそう、こういうのが食べたかったの! と拍手したくなる美味しさです。
夢中で食べている間にも、厨房ではたんぽぽ色のオムライスや、こんがり揚げたポークカツ、ビーフシチューなどが次々と完成していくのですが、どれもこれも輝いて見えます。常連らしき老紳士がオーダーしていたコーンポタージュも魅力的でした。ああ、全メニュー制覇したい。
お店の裏口はロサ会館の中につながっています。1階は賑やかなゲームセンター。お昼どきですが、なかなかにぎわっています。
怪しさをかもしだす壁の装飾。
お腹も満足したところで、いよいよ本題へ。生で落語を見るのは初めての私、後編では緊張しつつ「幻の寄席」こと池袋演芸場に潜入します。
■池袋の森
https://www.city.toshima.lg.jp/shisetsu/kouen_guide/001163.html
住所:東京都豊島区池袋1丁目付近
開園時間:4月から9月(8:00~17:00)
10月から3月(9:00~16:00)
■キッチン チェック
住所:〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-37-12 ロサ会館1F
電話:03-3985-1926
カテゴリー:アート