米米プロジェクト第3弾!「収穫祭」
食材は、一体どこからやってくるのか。
そんな風に、自分が食すものについて考えたことが、ここ最近ありますか?
流通の技術が発達し、季節に関係なく美味しい食材がスーパーには並び、コンビニにはお弁当やお惣菜が並んでいる。
そんな日常が当たり前になり、食材についていかに目もくれていないのか。
今回開催された収穫祭に参加した私は、その事実を強烈に感じたのでした。
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11月17日に開催された収穫祭は、米米プロジェクトの集大成。これまで米米プロジェクトに参加してきた参加者、また関係者をお招きし、約50名の方のご参加で、開催されました。
そもそも米米プロジェクトとは、『田植えからアートまで』のキャッチフレーズを掲げ、米米プロジェクトを通じて、『農』を体験し、地域と繋がる。『食』を知り、美味しくいただく。『アート』を見て、感じるという考えの下で今年行われた、約5ヶ月のプロジェクトです。
6月29日に田植えを行い、10月12日に稲刈り、そして今回の収穫祭にて、自分たちで作ったWACCA米を食しました。
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収穫祭の第1部で流された今回のプロジェクトの経緯を真面目に見る参加者の皆さんからは、楽しかった思い出を振り返るのと同時に、農業の大変さを改めて感じている様子を感じました。
今回のプロジェクトでは、ぐるぐる農園の中澤さんの指導の下、田植えに稲刈り、そして雑草の除去に至るまでを手作業で行い、農薬も使っていません。
スーパーで目にするようなお米に関して言えば、ここまでの手間は掛けていないにせよ、農家の皆さんがあってこそ、普段の美味しいごはんが食べられるんだ、ということを、改めて思い出させてくれたことと思います。普段食するごはんと、農家の皆さんとの『つながり』を、再認識するスライドでした。
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スライドが終わると、会場のあちこちで、小さな歓声が上がりました。
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そう、本日の主役、WACCA米を炊いた、ごはんの登場です! 炊きたての、しかも新米のごはんは、それだけで人を笑顔にする力があるのです。
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収穫祭の第2部は、おにぎりの調理体験。
スタッフによるおにぎりを作るポイントの説明があった後、自然と各テーブルで、しゃもじを持ってごはんをかき混ぜる人、おにぎりを作る人などの役割分担ができ、おにぎり作りに入ります。
すると一気に会場は明るくなり、あちらこちらで笑顔の花が咲きはじめました。
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ご両親からお子さんへ教えているグループもあれば、お友達同士で教え合いながら作っていくテーブルもあります。中には、初めて会ったお子さんに教えている場面などもあり、グループ内で一気に『つながり』が生まれていきました。それぞれの大きさ、形のおにぎりを見て喜びあい、褒めあう穏やかな空気に、会場は包まれました。
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そしていよいよみんながおにぎりを食べてみれば、会場内の雰囲気はより温かく、また、明るく変化していきます。
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「美味しい?」
と、お母さんが聞けば、
「美味しい!」
と、声を弾ませてお子さんが答えます。
「美味しいね」と、自然と周囲の人と感想を交換して、笑顔になっていく人たちもいました。
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ただ一緒におにぎりを食べただけなのに、まるで家族のような『つながり』を感じさせてくれる光景が、各テーブルには広がっていきます。
会場全体も、参加者・スタッフ関係なく、一つの大きな家族のようになり、笑顔の花が咲き乱れていました。
『食』のパワーを、改めて感じさせられる瞬間でした。
『食』があるだけで、人は明るくなるし、人とつながることも出来る。
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ただただ、栄養を摂るためだけ、空腹を満たすためだけに食しているときには、まるで意識できないことでした。
田植え、稲刈りも自分たちの手で行い、どんな風に食材ができているかを知るからこそ、わかることがある。
丁寧に食材と向き合い、味わうからこそ『つながり』を感じることが出来るんだと、参加者の皆さんは、おにぎりを頬張りながら、直感的に感じたことと思います。
『つながり』を大きな一つのテーマとしてきた米米プロジェクトは、大成功で幕を下ろしました。
今回のWACCA米の稲刈りの際に出たわらは、『わらアート』として生まれ変わり、米米プロジェクトを知らない人たちとプロジェクトをつなぐ重要アイテムとして、WACCA1Fにて展示中。
WACCAの鈴木館長は、『地域とのつながりを、もっともっと増やしていきたい』と、会の中で述べられました。
来年以降、新たにどんなプロジェクトが生まれ、そしてどんな『つながり』が生まれるのか、ご期待ください。
そしてその時は是非お気軽に、プロジェクトにご参加いただければと思います。
あなたが参加することで、今年とは違う、新たな『つながり』が、きっと生まれるはずです。
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記事:永井聖司(天狼院書店)
カテゴリー:食